【水地比(☵☷)より】
易学館の周易教室専科、昼の部では8月より水地比(☵☷)に入りました。
この卦の基本象意は〈したしむ〉で、比(した)しむとも、親しむとも同じように解釈します。
しかしこの〈したしむ〉は本来、単なる仲良しごっこではありません。他人と親しんで人間関係を巧くやっていこうというだけの理解では、水地比のダイナミックで歴史的な意味や、現実の親しむ厳しさ解りません。
本当の意味は、卦のマーク(☵☷)を見ると解ります。五爻の君主だけが陽爻です。単なる仲良しだったら全部陰爻という形でしょう。この九五(五爻)は権力者で、他の五陰爻より抜ん出た人物です。したがいそれに陰爻が親しむべきであるという卦です。誰とでもとか隣りと仲良くするという、親しむではありません。
ではそれにはどういう社会的な背景が在るのかが重要になってきます。この水地比の時というのは、戦国時代が終わりを迎える時で、一国が大きくなり天下を統一しようとしている時といえます。
古代中国では乱世が終わり秦が皇帝と成ろうとしている時です。『合従連衡』の「連衡」の方に近いといえます。日本に置き換えますとやはり乱世を織田信長が統一しようとしている時や、その少し後の徳川家康の手に天下が握られようとしている時です。
中心に成ろうとしている権力者の回りの弱小国家は、早く強国と同盟関係や主従関係を結ばないと滅ぼされてしまいます。したがいこの〈したしむ〉は仲良くするよりも御身保全という生き残りの為に比(した)しむわけです。
それが彖辞(たんじ)の後半に繋(か)けてある『寧(やす)からざるものも、方(まさ)に来らん。後(おく)るる夫は凶』で、早く五爻に当たる国や人物の元へ馳せ参じないといけません。遅れたりすると攻められたりして大変に危険なことになるという意味です。
これを実占的に解釈をし直しますと、この卦が出た時には、一つのフィールドにおいては一番の実力者や組織を見つけて、早く従った方が良い結果となるといえます。そうでないと立場を追われるようなことになります。また遅れてはいけないという意味は、広い意味ではタイミングやチャンスを逃してもいけないということにもなります。
現実に実力者や強力な組織は、個性などが強かったり特別な慣例が有ったりします。それらの対象に比(した)しまなければいけないのに、相手側の個性に対し好き嫌いを云ったりして距離を置いてはいけません。
親しみ近ずいて対象から色々なものを学んだり吸収しなければならない時です。そこから自己批判なども生まれてきますので、比しむことは結果だけでなく、自らも成長していきます。
主観を抑えて対象と客観的に比しむ必要性をこの卦は教えてくれます。
但し、三変筮法では大成卦が本質で現象は爻辞を以って判断しますので、得爻により比しんではいけない場合があります。三爻と上爻です。悪人と比しもうとしていたり、始めから比しめない話だったりします。
まずは水地比を、比しむという好き嫌いを超えた処世方として理解をして頂ければと思います。
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