2014年12月24日水曜日

師走の風向き

         
           【師走の風向き】   老園卓昌
 
 
 師走も押し詰まり、今年も色々なことがありました。

 
 易占も数多く立卦させていただきました。得卦は偶然に現れますので、占的(占う対象)に対して 

思わぬ卦が出現することが多々あります。
 
 
 第二次の安倍内閣も思わぬ流れの〈中筮卦〉が現れ、急の変化が有ると思いきや、暮れの解散

劇となりました。
 
 
 その時の卦は、【天風姤(☰☴)《上から乾乾乾震乾坤の地火明夷(☷☲)に之()く】です。
 
 五つの爻が変じます。塚原流三才中筮法では天風姤→乾為天(☰☰)→天火同人(☰☲)→風火

家人(☴☲)→山火賁(☶☲)→地火明夷と移って行きます。(この流れに三才卦を対比していきます) 

 
 姤の女性大臣の辞任、乾為天の実務派での立て直し、同人、家人と政策が狭くなっていき、賁で

外遊はしますが内政は経済を含め回復が遅れ、明夷となり師走の選挙へと向かったようです。
 
 
 一強多弱と云われている与党ですが、第一党の自民党の足腰は余り強くなさそうです。

今回の選挙も公明党頼りだったようです。
 
 
 一方の民主党は、選挙では三変筮法で水火既済(☵☲)の九三を得て、前回の大敗の結果よりは

良さそうですが、回復には時間が係り一つの区切りと思っていましたところ、党首が落選してしまい

ました。
 
 
 民主党の今後は如何で卦を起こしますと、これまた火山旅(☲☶)の上九と党首が誰が就任しても

苦難は続きそうです。野党再編も痛みが伴いそうです。
 

 この爻は始めが苦しい程、却って後の成果へと繋がっていきます。目先の事に飛び付くと逆に危

険です。反自民や反与党のしっかりとした政策が必要と云えるでしょう。
 
 
 来年も易占の視野を以って多くの出来事からその先を予言する宋易(義理易)を用いたり、また漢

(象数易)の運勢占のように物事が発動する以前に得卦をし、まず〈卦ありき〉と云う純粋予言(

筮のように)などの立卦と、それぞれ使い分けながら、現代の易占を大いに楽しんでいこう思っおり

ます。
 
 
 来年の乙未歳も、周易教室と開運鑑定を行っている【易学館】を宜しくお願い申し上げます。

 
 
 【易学館】 周易教室 生徒募集中 随時入学可

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2014年8月11日月曜日

水地比(☵☷)より

    ****** ブログ易学館  2014/8/11  ******

            
              【水地比(☵☷)より】
 

 易学館の周易教室専科、昼の部では8月より水地比(☵☷)に入りました。
 
 この卦の基本象意は〈したしむ〉で、比(した)しむとも、親しむとも同じように解釈します。
 
 しかしこの〈したしむ〉は本来、単なる仲良しごっこではありません。他人と親しんで人間関係を巧くやっていこうというだけの理解では、水地比のダイナミックで歴史的な意味や、現実の親しむ厳しさ解りません。
 
 本当の意味は、卦のマーク(☵☷)を見ると解ります。五爻の君主だけが陽爻です。単なる仲良しだったら全部陰爻という形でしょう。この九五(五爻)は権力者で、他の五陰爻より抜ん出た人物です。したがいそれに陰爻が親しむべきであるという卦です。誰とでもとか隣りと仲良くするという、親しむではありません。
 
 ではそれにはどういう社会的な背景が在るのかが重要になってきます。この水地比の時というのは、戦国時代が終わりを迎える時で、一国が大きくなり天下を統一しようとしている時といえます。

 古代中国では乱世が終わり秦が皇帝と成ろうとしている時です。『合従連衡』の「連衡」の方に近いといえます。日本に置き換えますとやはり乱世を織田信長が統一しようとしている時や、その少し後の徳川家康の手に天下が握られようとしている時です。
 
 中心に成ろうとしている権力者の回りの弱小国家は、早く強国と同盟関係や主従関係を結ばないと滅ぼされてしまいます。したがいこの〈したしむ〉は仲良くするよりも御身保全という生き残りの為に比(した)しむわけです。
 
 それが彖辞(たんじ)の後半に繋(か)けてある『寧(やす)からざるものも、方(まさ)に来らん。後(おく)るる夫は凶』で、早く五爻に当たる国や人物の元へ馳せ参じないといけません。遅れたりすると攻められたりして大変に危険なことになるという意味です。
 
 これを実占的に解釈をし直しますと、この卦が出た時には、一つのフィールドにおいては一番の実力者や組織を見つけて、早く従った方が良い結果となるといえます。そうでないと立場を追われるようなことになります。また遅れてはいけないという意味は、広い意味ではタイミングやチャンスを逃してもいけないということにもなります。
 
 現実に実力者や強力な組織は、個性などが強かったり特別な慣例が有ったりします。それらの対象に比(した)しまなければいけないのに、相手側の個性に対し好き嫌いを云ったりして距離を置いてはいけません。

 親しみ近ずいて対象から色々なものを学んだり吸収しなければならない時です。そこから自己批判なども生まれてきますので、比しむことは結果だけでなく、自らも成長していきます。
 
 主観を抑えて対象と客観的に比しむ必要性をこの卦は教えてくれます。
 
 但し、三変筮法では大成卦が本質で現象は爻辞を以って判断しますので、得爻により比しんではいけない場合があります。三爻と上爻です。悪人と比しもうとしていたり、始めから比しめない話だったりします。
 
 まずは水地比を、比しむという好き嫌いを超えた処世方として理解をして頂ければと思います。


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2014年4月6日日曜日

実占象意 


         
         ***** 実占象意 火天大有の上爻 *****
 

 〔STAP細胞〕の論文に疑いが持たれ始めた頃に、主任研究員の今後も含めてこの研究の今後如何

で、立卦をしてみました。
 
 遇卦は、火天大有の上九(☲☰)でした。
 
 卦の出現した瞬間に、小林喜久治先生のことを思い出しました。先生は実占家であられ、上野の

夜の路上で30年以上に亘り多くの方を鑑定されました。或る時に同席した酒宴で、いつもの易談義

の中の事です。火天大有の上爻は気を付けないと誤占をするよと云われました。
 
 それは「筮前の審事」(占う以前の内容)が良い時には爻辞どおりの結果となるが、辻褄(つじつま

)が合わない話や良くない話は、そうならないと云われました。小生も街占をしておりましたので、

この卦爻と山天大畜の上九(☶☰)はそう簡単には、爻辞どうりに予言はいかないと思っていました

。そこを指摘してくれたのは大いなる喜びでした。
 
 実占は、易経の解釈だけでなく筮前の審事やそこから絞った占的(占う中心のテーマ)が、重要な

座標軸となります。

  さて得卦に戻りますが、研究員女史の年齢や知名度、経験などを総合しますと火天大有は本義の大

きく有(たも)つよりも、この場合は荷が重いと判断できます。火天大有は下卦乾(☰)の公け、その

上卦離(☲)の明らかや明晰で、公的な地位が築かれていてこそ実力が発揮できます。《ローマは一

日にして成らず》です。その経験や費やした時間がないと、逆に大きなものを背負えずに潰れてし

まいます。
 
 上爻の爻辞が『天よりこれを裕(たす)く、吉にして利(よろし)からざるなし』と最良のことを云

っていても、卦の構成の小成卦、下の乾から上の離へとの流れである正論をもってし、また乾の公

で積み重ねてきたものが離という名誉は得られるようにはなりません。反対に乾という社会や世間

が、離で離(はな)れていったりして大火傷をします。爻辞とは逆の事が起こります。陽と陰がひっ

くり返った形です。勿論この場合は残念ながら後者の判断といえます。
 
 火天大有の卦は王道や正統の意味があります。したがって、この研究自体は正しい事といえます

。また君位が陰爻なので女社長の卦ともいえます。しかし上爻は時を誤ったといえますので、まだ

熟しきっていないのに実を取って食べようとしたくようなものです。離には争う象意がありますの

で、所属している組織からも含めて大きなパッシングにあっています。騒動が落ち着いたら場所が

変わっても、再び研究の場を得られればと思っております。学問や研究、また特許などの世界は外

から見るほど綺麗なものではありません。中では名誉欲や金銭欲が渦を巻いています。その中で己

を保つのは容易なことではありません。一陰五陽卦なので、一陰が他の総ての五陽に良い顔をしよ

うとすると失敗します。この負の状況を却って良い機会と考え直して、新しい次元へ進んで頂きた

いと思います。
 
 ここでは得爻が上爻ですが、火天大有の卦を構造的に読んでいきたいと思います。上爻を否定的

に解釈しましたので、各爻全体も否定的な意味が強くなってきます。
 
 得爻が上爻であったという事は、その少し以前は五爻といえます。小象伝に『信もって志を発す

るなり』と研究の発表を云っております。しかしその後に『威如の吉なるは』と威厳の伴う研究結

果になるには、『易(あなど)りて備(そな)うるなければなり』といっており準備が万端でなければ

いけないと、釘を刺しています。やはり《ネイチャー》のような世界レベルのフィールドでは、発

表された研究は杜撰(ずさん)だったようです。
 
 では他の爻を初爻から見ていきます。初九は『害に交わること无(な)し』で、やはり公的な機関

では名誉欲や利害など色々な「害」があるようです。『艱(なや)めば則(すなわ)ち咎(とが)なし』

で上司や先輩などの云うことを素直に訊く反面、片側では疑るぐらいで騙されないといっておりま

す。大有という大きな組織の中で生きていくには何事も一筋縄では行きません。
 
 二爻は『大車以って載す』で大きな車ですので本人にはとても才能があるといっています。しか

し小象伝の後の句に『中に積みて敗れざるなり』と車は大きいが積載オーバーはいけないと注意し

ております。ここで実力以上の勇み足があった模様です。安易に回りの煽(おだ)てなどに乗っては

いけません。
 
 三爻は『公もって天子に亨(きょう)せられる』で、ここでリーダー格と成っていくようです。し

かし『小人は克(あた)わず』でその立場に適任かどうかに疑問符が付きます。小象伝ではリアルに

『害あるなり』といずれ禍が起こるといっております。それらが起こる時が〈害応〉(応ずる爻が陽

と陽の反発)となっている得爻の上爻といえます。時には己(まだ小人)を知って、天子の呼びかけを

断ることも大切です。
 
 四爻は『その彭(さかん)なるに匪(あら)ず』と、この爻は上卦で君位の五爻に近いが、まだ力量

が無いと初句から諌(いさ)めております。実力があると錯覚しないことです。『咎无し』の間違い

が起こらないようにするには、『明弁にして晢(あきら)かなればなり』でしっかりと分析し証明す

ることが必要であるといっております。この段階で論文としての緻密さや証明という明晰さに欠け

たようです。
 
 五爻は前述の準備不足です。
 
 以上、火天大有は公共的な卦なので〔STAP細胞〕は、社会から求められる大変に価値のあるもの

です。現状は混乱しておりますが、いずれ未来に向けて再び研究の火を消さずに、医療の面からも

含めて社会を照らす大きなと灯と成ってもらいたいものです。
 
 得卦得爻より、大先輩の実占解釈における、爻卦の意義の社会学的選択を思い出しながら、判断

をさせて頂きました。実社会に対する活きた象意選択は漢易的(象数易)判断が基礎となります。



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2014年2月4日火曜日

名古屋周易勉強会にて

鼎易館主催(鼎健一先生)の名古屋大須での周易勉強会は、
いよいよ下経に入り,初めの沢山咸(☱☶)と雷風恒(☳☴)の意義とその応用でした。

沢山咸は卦意が吉で六つの爻意が凶か否定的です。
実占はこの合致しない連立方程式を如何に解いていくかが妙味といえます。

現実に起こる出来事は常に矛盾を抱えています。
咸卦は、その両面から問題に近付けるという、卦爻の構造と成っています。
そこがポイントです。

雷風恒は物事には常道というものがありますが、
それが守れるかどうかという卦です。

また、人の上に立つ人はこの卦は、創造力が発揮できず、面白くない卦で、
そうであるからと言って、下の意見を鵜呑みにするなとまで、
親切に教えてくれています。

咸は恋愛だが纏まり難く、恒は結婚の卦だが見合いや紹介の卦とも云われています。
詳細な判断は、爻辞を理解していくことによって深まっていきます。

今月もいつもの長い講義受けて頂き、
誠に有難う御座いました。


☆名古屋周易勉強会では、聴講される方を募集しております。
   連絡先は鼎易館 鼎健一 ℡090-3938-3303




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