2013年6月1日土曜日

筮具の話

 易占を行うには筮具が必要です。易に熟達をしてきますと時には筮具を用いずに「無筮立卦」なども行いますが、それはさておきまして基本的な筮具の紹介をいたします。
 
 まずどの様なものが必要かといいますと、筮竹、筮筒、算木、掛扐器(けろくき)などです。
 
 「筮竹」から説明をしていきますと、長さは尺五(四五㎝)、尺三(四〇㎝)、尺二(三五㎝)の三種類が一般的です。(四は不吉な数なので用いられていません) 材質は竹で長いもの程太く作られており、手元の部分が少し細く削ってあります。これは捌(さば)いたときに扇状に広がるようになる為です。
 良質なものは煤竹(すすだけ)を用いますが現在ではなかなか入手困難で、煤竹風の塗装がしてあったりします。また塗装をしていない青竹といわれる竹の地(じ)のものもあります。
 明治の易聖、高島呑象翁などは旅行用に尺二よりもっと短いものを作らせたようです。またその筮竹を入れる筮竹袋は錦の布地などがよく使われているようです。
 
 「筮筒」は筮竹を立てる筒で最近は輸入材が主ですが、金属や陶製のものもあり筮竹の尺五に合う大きさが一般的で尺三、尺二にあう小ぶりの筮筒もあります。側面に竜などの彫られたものもあります。筮竹を経てるだけでなく、筮捌きの最初の一本にあたる太極も立てます。
 
 卦を伏す「算木」は大きさに決まりは有りませんが一つ規準が有ります。六本を合わせると正方形となり地を表しています。陰爻を表す中央の赤い部分は、一本の算木の六分の一となっています。材質は堅木を用いており、捌くときに強めに合わせるとパチッという音がしてそれが魔除けとなります。高級なものは材質に紫檀や黒檀が使われ、陰爻を示す部分などに螺鈿を埋め込んであったりするものもあります。また両端に小成八卦の文字が彫られているものは中筮法にも使用できます。袱紗などを算木の下に敷くのも良いでしょう。
 
 「掛扐器」は筮竹を捌いたときに置く道具で、本来は左手の指に筮竹を挟んだものを扐といい、それを掛けたので掛扐器といいます。二ヶ所掛ける処のあるものは略筮用で略筮法や三変筮法に用い、三ヶ所掛ける処のあるものは古い筮法も出来る本筮用です。共に筮筒(太極を立てる)が無くても立卦できるようになっています。
 
 その他には、これらの筮具を簡略化した「八面賽」(サイコロ)があります。八面賽二個と六面賽一個で一セットです。材質は練り物、牛角、象牙などがあり八面賽の文字は一つの小成卦の文字の反対の面は裏卦(反対のマーク)になっています。(乾☰の裏は坤☷、震☳の裏は巽☴)三つの賽を一遍に投げますと、求める得卦得爻が一度に出ます。
 但し筮竹を用いるように下卦を得てから、上卦へ移る時間の変化は味わえません。初歩の方ほど筮竹での得卦をお薦めします。
 
 さあ、あなたも周易を学んで立卦をしてみませんか。