#【易学館だよりメルマガ版】 2022年4月号 (Ⅿ-5)
易学館 老園卓昌
コロナ禍も土俵際まで追いつめていますが、なかなか押し切れません。それにロシアの
ウクライナ侵攻があり、死者も多数出ており、人道と経済の両面に世界が晒されておりま
す。全く21世紀とは思えない、テレビやスマホの画像が映し出されています。
個人が現実を憂いても微力かもしれませんが、易占は得卦をする事で、卦爻に出会い、
陰陽や三才(天地人)を通して天道と繋がります。個人であっても、宇宙と云う視点で物事
を観察できます。易占の深さや崇高さを、個人や個々の問題から大きく理解し日常に活か
して頂きたいと思います。
☆ 易学館 生徒募集中
易学館では、占業として周易を学びプロフェッショナルを目指す方を募集し
ております。
勿論、初心者の方や教養としての易を学びたい方も大歓迎しております。
過去に周易を学んだ方は、それを土台として、経験に合ったクラスに入学を
して頂けます。
◎初等科(周易の概念)
◎基礎科(小成八卦)
◎研究科(大成卦)
◎専科(爻辞)
の四つのコースが有ります。
各コースは《通信講座》も行っていますので、通学できない方や遠方の方の
受講をお待ちしています。
それ以外に『占断』だけを対象とした
◎実占科
◎中筮実占科(塚原流三才中筮法)
が有ります。
特に《専科》は、爻辞を深く探究し、職業(占業)を目指す方の指針として実
占に用いられるよう説いております。
初心者の方は《初等科》からが、周易をよく理解できます。
プロとして、悩める人を導ける【易者】を目指してみませんか。
☆ ご連絡は
易学館 老園卓昌 ℡ 03ー3823ー6050
☆ メールでも受け付けております。
☆ 尚、易学館では《運命鑑定》を行っています。遠方の方は電話鑑定も受け
付けております。
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【古典と未来空間】(一)
老園卓昌
人類の起源はアフリカといわれております。また物語の最も古くは古代オリエントのよ
うで、それらは後に聖書などの元となる話しとなっていったようです。
『易経』はそれ程には古くはありませんが、二千数百年以上前には、原形を成していた
ようです。卦や爻の内容なども周代を越えて殷代の政治形態や民俗や風習などが多く残っ
ています。
現在に用いられている『易経』は、始めの乾為天(☰☰)の卦を除いて、他の大成卦を彖
辞(たんじ=原文)、彖伝(たんでん)、大象伝(「伝」は解説という意味)という形に編纂し
直したのは、後漢の鄭玄(じょうげん=一二七ー二〇〇)といわれています。また爻辞(原文)
に現本にあるように小象伝を各爻に配したのは魏の王弼(おうひつ=二二六ー二四九)とい
われています。この形に易経が整えられてからは、現在まで形が継続しています。
大成卦の形が現在までに残ったのは、彖辞、彖伝、大象伝という形式が、中国の古代思
想の天地人(てんちじん)といわれる三才観にとても近い構成だからといえます。彖辞が
「天」で予言における本質です。彖伝は「地」でそこから起こる現象といえます。それと
共に天象も記されております。大象伝は「人」(じん)で君子における倫理感からの行為
が主に記されています。
これは《大成卦》においては一つの事を占うと予言として、三才の形でその対象となる
ことが解るという意味です。「天」(彖辞)がその問題の根源や予言の本質であり、したが
い歴史的な過去の時間や大災害も含まれていることがあります。「地」(彖伝)は予言とし
て起こる「天」から導き出せる現象化されたものです。また人間社会に影響を及ぼす天象
も多く記されています。古代は現代のようにテクノロジーが発達をしておりませんので、
当然に天候はとても社会生活を左右します。したがいその予測は重要といえます。「人」(じ
ん=大象伝)は君子や問占者(現代では御客様)の考え方からの行為です。何事も対象に向か
おうとする思考がないと、現実に流されるままになってしまいます。職業などもそれに成
ろうという主体的な意志が無いと成就を致しません。『君子以って』という言葉が多く用
いられているので、基本的には人の上に立つリーダーなどになる意味ですが、現代では専
門家やプロの道、また一般の人では社会的な立場の形成へ進むことに置き変えて判断とし
て用いることができます。
《爻辞》は、爻辞原文と小象伝として、各爻の形で現在まで至ったのは、王弼がまとま
っていた小象伝を、各爻に付したことで爻辞原文が相対化をしました。物事はそれ一つで
は存在はしますが、認識や分析はできません。小象伝という雑卦伝(十翼の一つ)に近い現
実的な解釈を付したことで爻辞原文の現象的言葉が現実に活きるようになりました。もう
少し詳しく言いますと、《爻辞原文》は大成卦の意味を六爻という時間の変化で解釈して
います。それも論理的な意味だけではなく、時間の変化と共に起こる偶然的な現象を挿入
しています。しかしどちらかというと、その現象を肯定する徳論的な要素の強い性善説で
す。それに対して《小象伝》は「雑卦伝」の系統に近い現実論で、悪の存在を肯定してい
る内容で徳をもっての見方ではない性悪説的です。悪人は勿論悪いが、その甘い話しに近
づき騙される当人が良くないという考え方です。これにより爻辞原文の善という見方と、
現実の悪に対する方法としての小象伝という二つの考え方で六爻の爻辞が、問占として社
会の中で多様に活用できる形となりました。社会の理解は性善説と性悪説の両側からの視
点が無いと、全体を把握できません。また小象伝は爻辞原文の全体解釈ではなく、最も現
実的で現象的な部分を取り上げて解説しています。したがい爻辞原文より、具象的といえ
ます。この爻辞原文と小象伝の構成としての関係は、易の最も基本の構造となっている〈陰
陽〉です。爻辞原文が徳論を主にした「陽」で、小象伝が現実の厳しさをいう「陰」とい
えます。したがい爻辞原文は悪くはないが、小象伝は悪く記されていることが幾つかあり
ます。これは前述した構成から理解できると思います。
(つづく)
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【巽為風】(コラム)
桜花から新緑へと、とても過ごし易い季節を迎えています。しかしコロナ禍は変種が手
を変え品を変え、なかなか収まりません。それに地震があり、戦争まで始まってしまいま
した。
天の気は陽の健やかな様ですが、地の気や人(じん)の気は陰の混沌としている様です。
陰と陽は綾を成していると云いますが、バランスが崩れて陽が強過ぎたりまた陰が強過ぎ
ると、いずれも逆転してしまいます。『陽極まって陰と成る』『陰極まって陽と成る』です。
コロナ禍と云う陰の極みは、まだ続いておりますが、テレワークなどの通信が日常を発
展させ、対面の必要のないものはとても世界が広がり、インターネットの重要性の再確認
といえます。
しかし戦争と云う多くの人命が失われる陰の極みはいけません。日本は敗戦と云う陰の
極みで、国体の護持という考えから、陽と云える民主日本へと大きく転換しました。
ロシアも侵略と云う、陰の極みを速やかに理解をして、専制であり警察国家から新しい
体制へと移行してもらいたいものです。また戦禍のウクライナの停戦後の、いち早い復興
と新しい発展を期待します。