2013年1月25日金曜日

易と恐怖映画

   周易の表現力を広げるには、いろいろなものを六十四卦に当てはめて考えてみると象意が豊かになるだけでなく、実占での勘もさえてきます。
   先日深夜にテレビで恐怖映画を観ました。「ハニンバル」です。「羊たちの沈黙」の続編で怪優アンソニー・ホプキンスのレクター博士役は残酷で狂気に迫るものがあります。名演技といえるでしょう。観終わってから恐怖映画やミステリーを、象意として六十四卦で示すとどのようになるかと考えてみました。
   まずこの種の映画には恐怖は勿論のこと、残酷・死・犯罪・殺人・危機や危険などが主にテーマです。そのような卦を六十四卦から引き出しますと、死体を背負う地水師(☷☵)、危険が迫る天沢履(☰☱)、墓場の象意は地山謙(☷☶)と艮為山(☶☶)、毒を飲まされる山風蠱(☶☴)や沢水困 ( ☱☵)、高所から突き落とされる山地剥(☶☷)、眼を突かれる地火明夷(☷☲)、刃物沙汰になる兌為沢(☱☱)、監禁は火雷噬嗑(☲☳)、自然災害の恐怖は天雷无妄(☰☳)や沢天夬(☱☰)です。焼死体は離為火(☲☲)といえます。坎為水(☵☵)などはこれらの象意に複数絡みます。
  では作品を当てはめてみましょう。「ハニンバル」は毒を飲ましたり、人を中吊りにして殺したり、頭蓋骨を剥がし脳を剥き出しにしますので、山風蠱・山地剥・兌為沢(兌は刃物で切開、手術)などが当てはまります。ヒッチコックの「鳥」は天雷无妄で「サイコ」は兌為沢です。「ドラキュラ」は吸血鬼なので坎為水(坎は血液)といえます。また血を吸う形は沢水困(沢の兌は口)ともいえます。ゾンビ系の映画は墓場から出てきますので地山謙と艮為地です。
  邦画をみてみますと、古くは「番町更屋敷」はお菊さんが井戸に突き落とされるので山地剥と地水師(地の下の水)といえます。「四谷怪談」のお岩さんは民谷伊右衛門に毒を飲まされるので山風蠱です。「牡丹灯篭」はお露の死霊が下女と一緒に墓場から新三郎の許へ通うので、坎為水や浮遊霊の巽為風(☴☴)といえるでしょう。
   多くの占断に臨むには、豊かな卦の象意を理解することが必要です。有るもの無いものを含めて多様なものに六十四卦を当てはめて読卦力を付けて行きましょう。 

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